今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
兄とあんなに仲が良かったのに、お互い不自然すぎるほどよそよそしい。


それでも両親達は気づかないフリで黙っているのが最善と判断しているみたい。


あれ以来兄との仲を特になにも言ってこない。


本音を言えば、そんな家族の態度には息が詰まりそう。


私はやっぱり出かけることもなく部屋に引きこもりがちになっていた。


することがないので、普段はやらない勉強ばかりしていた。


頭が良くなったら兄に褒めてもらえるような気がしたからなのか。


両親への後ろめたさを勉強していい子になることで埋め合わせしようとしていたのか自分でもよくわからなかった。


また以前のように翔くんと話したい。
心の中のモヤモヤを打ち明けたい。


唯一の希望の光は夏休み最後にある夏合宿。


そこではさすがにこれまで通り話せるはず。


この家を離れて4泊5日、自由になれる。
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