今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
いくらなんでも、そこまでは両親の目は届かないから。


翔くんと2人きりになったとき、彼の気持ちをもう一度確かめてみよう。


それに、ただ単純に他愛もない話なんかもしたい。


それから寂しかったって素直に言っておもいきり甘えたいな。


そしたら優しい彼はきっとまた私を抱きしめてくれる。


モヤモヤした不安な気持ちなんて全部吹き飛ばしてくれるよね。


それだけを心の支えにして夏休みを過ごし、そしてついにその日がやってきた。


その朝、あんまり心待ちにしていたせいか5時過ぎに目が覚めた。


窓の外は薄暗く静まりかえっていた。


早起きしすぎたのでまだみんな眠っているだろうなって思いながら、そーっと階段を降りリビングへ向かった。


意外にもリビンクから灯りと声が漏れていた。


あれ?こんな時間に誰かいるのかな。


父と兄の声だとわかってハッとした。
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