今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
兄がすかさず私を庇ってくれるのも毎朝の光景。


「俺がやりたくてやってることだしね」


「でも千桜は頼りなさすぎるからなぁ。もう少しお兄ちゃんを見習ってしっかりしてもらわないと」


父がぼやくとみかねたように母も会話に入ってきた。


「あら、お兄ちゃんは結構抜けてるのよ。それにチーちゃんのことが可愛くて仕方がないのよね」


だけど父は苦虫を噛み潰したような顔をする。


「千桜がいつまでも頼りないから」


「はーい、気をつけます」


私が軽く返事をしたら、隣にいる翔くんはクスッと笑う。


「それに兄妹であまり仲が良すぎるのも問題だよ」


「……っ」


ドキリと胸が跳ねる。


「やっぱり翔がチーちゃんに構いすぎなのかもね」


両親が私の顔を穴の開くほど見つめてきたからドキッとした。
< 35 / 443 >

この作品をシェア

pagetop