今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
私達の関係が疑われたりしたらどうしょう。


だけどそんな心配はまったくの杞憂だった。


「いやーん、可愛い。妹ちゃんはお兄さんのことが大好きなんでしょ?」


「わかるわー、あんなイケメンが家にいたら恋しちゃうよね」


「でも可哀そう、兄妹じゃいくらなんでも無理だもんね」


「元気出して、妹ちゃん」


「……っ」


そんなの余計な御世話ですけど……って反論したいのをぐっと我慢する。


あろうことか、同情されて慰められてしまった。


はあっ、結局ただのブラコン扱いされただけだった。


なんだか空しくなってきて肩を落としてすごすごとその場を後にした。


ああ、今ここに兄がいてくれたらどんなにいいだろう。


もし彼がいたならあんな人たちが羨むくらいの笑顔を私に向けてくれるに違いない。


兄だからとか妹だからとか関係ないくらいに、私のことを一番大切に想ってくれているってこと。
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