今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
2人が何を心配しているのか最近薄々わかるようになってきた。


私と兄が必要以上に仲が良すぎるのが気に入らないみたい。


両親が再婚した時、まだ私は小さかったから、新しい母や兄を家族としてすんなり受け入れることができた。


3歳の時に母を亡くした私はいつもひとりぼっちだったから家族が増え賑やかになって、ただただ嬉しかったんだ。


なんといっても、兄は歳が近かったから仲良くしてもらいたくて。


こんなに優しい兄だけど出会ったばかりの頃はさほど私に関心が無かったのか単に面倒だったのかそっけない態度だった。


それがいつのまにか、少しづつ絆が深まって本物の兄弟になれたんだ。


そして新しい母にもだんだん慣れていった。


10年経った今、血は繋がっていないけれど私たち家族のカタチはほぼ完成していた。


ちょっと口うるさいけど穏やかな父は中学校の数学の教師。

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