今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
だんだん彼の表情が曇っていく。


「違う、そういうんじゃないんだ。僕と彼女は……ちがうから」


強い口調で否定してきたのでどうしたのかなって思った。


そして、彼はあたりを警戒するようにキョロキョロ見まわす。


あれどうしたんだろう。


ただ単に照れているだけではなさそう。


「え、でも……」


「お願い、他の人にそういうことは絶対に言わないで」


「え?え?石野くんどうしたの?」


ちょっと焦っているみたいで様子がおかしい。


「バレー部は恋愛禁止なんだ。歌さんはいま大切な時期だから。僕なんかとなにかあるって誤解されたら彼女に迷惑がかかる」


「あ……」


そっか、そういう事情があるんだ。


そういえば、以前に西原くんがそんなことを言っていたのを思い出した。


私はコクッと頷いた。


「うんわかった、誰にも言わない」


「頼むね」

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