今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
私はそんな二人を見てオロオロするだけで、どうしたらいいのかわからなかった。


「歌ちゃん、どうして石野くんと話さないの?」


「いいのよ、あっちが私のことを避けてるんだからこっちもそうするわよ」


眉間にしわを寄せて険しい顔をしている。


さっきは泣きながら布団にくるまっていてしばらく出てきてくれなかったんだけど、ひとしきり泣いたら少し落ち着いたみたい。


石野くんの顔を見たら悲しいって気持ちよりも腹が立ってきているみたい。


「でも、部活のことがあるんだしちゃんと話し合ってみた方がいいよ」


「向こうは話し合うつもりなんてないんだよ。何でも一人で決めてしまって。私のことをバカにしてる」


「そんなことはないと思うけどな」


「でも石野はいっつもそうなんだから」


「いつも?」
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