今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「これを送ったの?」


「うん」


それはこの合宿中の私が写っている写真。


歌ちゃんとのツーショットや勉強中にぼんやりしているところ、部屋で眠っている画像まである。


半分くらいこっそり撮られていて気が付かなかった。


だけど、これらのどこに兄を呼び寄せる力があるのかよくわからなかった。


とりたてて珍しいものでもないし。


「どうだろ……これを見て来たくなるかな」


「絶対にお兄様なら駆けつけてくるから」


歌ちゃんは自信ありげだけど、私は半信半疑だった。


「あーそうだ、ダメ押しに千桜の水着姿でも送っておこうか?」


いいことを思いついたって顔でにやって笑う。


「や、それはやめてっ」


「ほらほら、そんなの着てないで水着姿でポーズして。可愛いビキニ買ってきたんでしょ?」


「ひゃっ」


スマホのカメラを向けながら、私のラッシュガードを無理やり脱がそうとしてきたから必死で抵抗した。
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