今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「イチゴかな」


「オッケ、じゃあ俺がぬってやるからな」


「あ、ううん。自分でぬるよ」


父の視線が痛かったのでそう答えたんだけど、結局は翔くんが私の分の食パンを焼いてイチゴジャムをぬってくれた。


その上ココアまでいれてくれた。


私がノロノロ食べている間に私の分のお弁当まで準備してくれていた。


もうお兄ちゃんって言うよりもお母さんって言ってもおかしくないくらいのお世話っぷりだ。


両親は共働きで同じ中学校の教師をしている。


そんな二人はまだまだ私になにか言いたげだったけど、そろって先に家を出ていった。


残された私と兄は向かい合って椅子に座って食事を続けた。


「翔くんあのね、ありがたいんだけどお父さんとお母さんの前ではあんまり私に構わないほうがいいんじゃないかな?」


「どうして?」
< 38 / 443 >

この作品をシェア

pagetop