今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「でも、辛そうだ」


「あ、少し暑くて……それで」


ふいに視界がぼやけて、熱い砂の上をよろけてしまった。


「え?大丈夫?」


すかさず、彼が私の腕を掴んで支えてくれたけど頭の中心がぐるぐる回っているみたい。


「う、うん平気。ごめんね」


「なんかフラフラしてない?ちょっと座ろうか」


「うん、ごめん」


のぼせたように顔や体が熱く感じた。
どうしたんだろう。


あわてて持っていた麦わら帽子をかぶって、その場にしゃがみ込んだ。


もしかしたら、夏休みの間じゅう引きこもりだったせいか外界の暑さに身体がまったく慣れていないのかもしれない。


この日の平均気温は例年よりもかなり高めで、うだるような暑さだった。


海水浴にはちょうどいいのかもしれないけど、私にはちょっときついかも。


もうほんっとに情けないほど体力が無くて嫌になる。


「あれ、そういえば歌ちゃんはどこへ行ったんだろ?」
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