今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「大丈夫？ここに座っていいよ」


その時、石野くんがレジャーシートの上の荷物を端によけて座れるスペースをつくってくれた。


「あ、水もあるから飲んで」


クーラーボックスからとり出されたばかりの冷たい水の入ったペットボトルを手渡された。


「え、いいの？石野くんありがとう」


「うん」


私はレジャーシートに腰掛けてお水を口に含んだ。


冷たくて美味しい。生き返るみたいだ。


「おー、石野気がきくじゃん。さっすがバレー部マネージャー」


西原くんがそう言うと歌ちゃんはムスッとした。


「石野はマネージャーじゃないよっ」


「えっ、でもそうやって聞いたけど」


「誰に？」


「石野本人から」


2人が一斉に石野くんに視線を注ぐと、彼は焦ったように瞳を泳がせた。


「あ、えっとそれは。これからはそうなるかもって話でまだ決めたわけじゃなくて」


「どうしてよっ？」


歌ちゃんが、怒ったように強い口調で詰め寄る。
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