今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「どうしてよ?どうしてなんでも勝手にきめちゃうの?」


彼女の悲しそうな声が響く。


「だって歌さんと……」


「私がなに?」


「……」


彼は気まずそうに口をつぐんでしまった。


「どうしたの?なにか言ってよ」


「……」


「あんたっていつもそう。大事なことはなんにも言ってくれないよね」


「……」

 
重苦しい沈黙が再び2人を包んだ。


どうしよう。このまま見守るだけでいいのかな?


私になにか出来ることは本当に何もないの?


西原くんと顔を見合わせたけれど、彼はどうしょうもないって諦めたように首を振る。


辛そうに彼女から目を背ける石野くん。


今にも泣きだしそうに顔を顰める歌ちゃん。


私にはどうしても2人をこのまま放っておけなかった。


たとえ届かなくても伝えたい。


今の私の気持ちを自分自身の正直な言葉で。


だって、このままだと2人はどうなってしまうだろう。
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