今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
言いながら私の唇の端に長い指を伸ばす彼。


口の端に着いたパンくずをとってくれた。


「だから、なんか二人とも変な心配してるでしょ」


『変な』の意味は口に出すのも恥ずかしい。


「別にいいじゃん、そんなの気にすんな」


「気にするよ、だって……」


「やましいところが無ければ気にすることないだろ」


やましいことって……。


そんなのは無いけど、両親から変な目で見られたり心配をかけるのは嫌だな。


「やましいことなんてあるわけないよ」


「ふうん、あるわけないか」


つまらなそうにこぼす彼。


また彼の長い指が私の口元に伸びてきた。


まだ何かついてるのかな?


そう思って大人しくしてたんだけど、彼の指は私の唇をなぞるように触れてきた。


「俺は……無いわけじゃない」
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