今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
お互い、思い合っているのに部活の規則っていう理不尽な壁のせいでうまくいかなくなるなんて。


そんなの黙って見てられないよ。


負けてほしくない、そう思った。


だから意を決しておずおずと手を上げた。


「石野くん、歌ちゃん聞いてくれる?
えーっと、いま私の話をしてもいいですか?」


2人からの返事はなかったけれど、構わず続けた。


「あの、私、好きな人がいるんだけど今の2人とちょっと似たような状況で、だから2人のことが凄く気になってて」


「似た状況って言うのは、付き合うためにはいくつかハードルがあるってところなんだけど」


「彼は石野くんみたいに優しい人なの。
時々、私のことになると暴走しすぎるとこもある。
それに、なんでも1人で決めてしまうし、私の気持ちをわかってないとこもあって。
そういう時は寂しくなる」
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