今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
彼がそう叫んだ瞬間、全身の血液が沸騰するみたいに熱く感じた。


それでなくても、熱中症で倒れそうだって言うのに……。


ああ、翔くん。


ついにやっちゃった……。


売り言葉に買い言葉でおもわず本音が出ちゃったんだろうな。


あたりは、一瞬だけシンと静まり返った。


だけど、次の瞬間驚いたみたいなどよめきに包まれた。


「うそだろ、やっべー」


「キンシンなんとかっていうやつかな」


「瀬戸兄弟って、イカレてんじゃね」


「あの妹って可愛い顔して魔性なんだよ」


心無い声が耳に入ってきて背筋が凍り付く。


兄はあたりをギリッと睨みつけた。


「おい、今なんか言った奴、出て来いよ」


「お兄ちゃん、やめて。いいから」


「けどコソコソ言われるのはむかつく。チーのことを悪く言われたら我慢できない」


悔しそうな表情の兄。
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