今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
今にも周りの人たちに飛びかかっていきそうなので、必死で制止した。


どうしてこんなことになったんだろう。


だけど、この時不思議と悲しくも辛くもなかった。


全然関係ない人たちにバレることなんてどうだっていいって思えた。


だって、これは紛れもない事実なんだから。


私は兄と付き合っている。


お互いに好き同士だから付き合っているの。


ごく自然なこと、兄妹だから駄目だなんて誰にも言われたくない。


それは周りから見たらさぞ面白いスキャンダルなのかもしれないけれど。


もしかしたらこれも私達が向き合わないといけない壁のひとつなのかな。


もしそうなら、そのひとつだけでもここで乗り越えられるかもしれない。


「いいよ、もう」


ギュッと拳を握った。


「チー」


「瀬戸さん?」


「何を言われようと、関係ないから」
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