今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「合宿の間いろいろ助けてくれてありがとう」


「瀬戸さん」


「私はもう大丈夫だよ」


彼は少しだけ寂しそうに私をじっと見つめる。


「私のために翔くんに怒ってくれてありがとう。でもこの先は二人で解決するから」


彼は小さく息を吐いてそっとうなずいた。


「うん、瀬戸さんがお兄さんを見つめる顔を見たら到底かなわないって思った。
さっきは悔しくて嫌味を言っちゃったんだ、ごめん」


「ううん、私、西原くんにはいっぱい助けてもらったよ。だから本当にありがとう」


お礼を言ってニコッと笑ったら、彼は大きくため息を吐いた。


「やっぱ、直ぐにはあきらめられそうにないからまだ好きでいていい?」


「え、ええと」


切なそうな声でそう言われたのでなんて答えたらいいのか困っていたら、兄が横から口をはさんできた。


「悪いけど、なるべく早くその気持ちは断ち切ってくれるかな」
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