今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
どうしても知りたくて距離をぐっと詰めた。


「お願い、教えて」


「いや、引かれたら、立ち直れないし」


「なにそれ?どういうこと?」


「ちょっ、近くないか?もっと俺のことを警戒しろよな」


そう言って彼は少し後ろへ下がった。


「ごまかさないで、教えてったら」


「……いやだ」


なんだか小さい子どもが駄々をこねているみたい。


「どうしてそんなに頑固なの?」


「頑固じゃなくて……自信がないんだよ」


「自信が無いと言えないことなの?」


「そうだよ、将来のことなんてチーはまだちゃんと考えてないんだろ?」


うっと言葉に詰まった。


確かに、将来の夢は?なりたい職業は?
って聞かれたところで即答なんてできやしない。


「そんなのまだ決めてないけど……だからってどうして教えてくれないの?私には言いたくないこと?」
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