今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
でも自分で決めたことだから、絶対に最後までやり遂げたい。


きっとできるはず。


彼に対する思いが本物だって証明するんだ。


歌ちゃんには帰りのバスが出発する直前に兄に伝えてもらうだけでいい。


私が頭痛で動けなくて部屋から出て来れないって。


それを聞いた彼はきっと血相を変えてバスから降りてくるはず。


もう出発予定時刻だから、バスは私たちを待たずに先に帰っていってくれたら都合がいい。


布団に横になりながら天井を見上げていたら、遠くから廊下を走ってくる足音が近づいてきた。


「チー」


翔くんの声だ。


「えっ、もう?」


思っていたよりも早くに来たのでちょっと焦った。


まだ、帰りのバスが出発していないかもしれない。


急げば間に合うからって無理やり乗せられて帰ることになったらどうしよう。


「大丈夫かっ?」
< 427 / 443 >

この作品をシェア

pagetop