今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
兄にそう言われて一瞬ひるみそうになる。


でも、ここでやめるわけにはいかない。


「いいの、悪いことをするの、したいの。
それで、明日帰ったらちゃんと話し合わなきゃいけなくなるような状況を作りたいの。みんな逃げられなくなるように」


「……」


「だってみんな遠慮して、肝心なことから目を背けておかしいよ。
ちゃんと向き合わないといけないのに」


「……」


真剣に自分の考えを打ち明けた。


「私も頑張りたい。もう翔くんだけに押し付けたりしない。
翔くん一人の問題じゃないから。
私も、ちゃんと」


「チー」


彼は大きく目を見開いて驚いている。


「ちょっと待ってくれないか、考えを整理するから」


「ダメっ、待たない」


冷静になる暇なんて与えたくない。


それ程、無茶苦茶なことをしようとしてるんだってわかってるから。


畳み掛けるように、つぎの作戦にうつる。


「今から電話をかける」


「えっ、どこに……まさか」
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