今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
この時、自分が小さく震えていたことにようやく気がついた。


「頑張ってくれたんだな。ありがとう」


切なさと感謝の入り混じったような表情で、私を見つめる彼。


「うん」


彼はヨシヨシと頭を撫でてくれた。


そして悪戯っぽい表情でこう言った。


「チーがこんなに悪い子だとは思わなかった。完全にやられたよ」


「呆れてる?」


「ううん、ますます好きになった」


顔を見合わせてかすかに笑いあって、互いのおでこをコツンとくっつけた。


私の背中にまわされた腕の力がますます強くなる。


「私たちこれで共犯だよ」


「そうだな」


「これからずっと一緒だからね」


「うん、一緒だ」


「翔くん」


「でもチー、家族がバラバラになるのが嫌だって言ってたのに」


「それでも、嘘をつき続けるよりマシだよ」


「チーはそれでもいいの?」
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