今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「チーがいいんなら」


「うん」


結局、矢代さんはしつこくて逃げられそうにないし諦めて乗せてもらうことにした。


車の中は広々していてシートの座り心地もよくて快適だった。


いつもなら満員電車でぎゅうぎゅう詰めで大変なのに。


こんなに楽をしちゃっていいんだろうか。


「チー楽しそうだね」


窓の外の景色を見ていたら翔くんに声をかけられた。


「うん、だって電車に乗らなくて済むし」


「そうかな、俺は別にいいけど」


「だって満員電車でいつも翔くんに庇ってもらってるから申し訳ないし」


「そんなの全然平気、むしろチーを守る使命に燃えるんだけどな」


「へ?」


「俺はチーのために何かしてる時が一番幸せなんだから」


真面目な顔でボソッと言う彼。
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