今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
それって、結局は兄に伝わるような気もしないでもないけれど。


「うんわかった」


彼の瞳が射抜くように私を見つめてきたので胸がドキッとした。


すると、突然こんな質問をしてきた。


「なあ、チーは好きなやつとかまだいないよな？」


「う、うん。いないよ」


「そう」


兄はすっと無表情になり、顎に手をあてて何か思案しているようだった。


「どうかしたの？」


「いや、なんでもないよ」


兄は優しく笑いかけてくれたけれど、その笑顔が気になった。


嘘をつく時、彼は心配かけまいと無理して笑うんだ。


だけど、私にはわかる。


かすかに眉間に皺をよせるその笑顔は嘘をついてる時のニセモノの笑顔だってこと。


最近の彼はちょっとおかしい。
どこがってうまくは説明できないけれど。
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