今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「そっ、そうなんだ。お兄ちゃ、兄は柔道やってるからそれでかな」


兄は小さい頃からいろんなお稽古事をしてそのどれも完璧に極めていて柔道もそのひとつ。


始めたきっかけは私のことを守るために強くなりたいんだって言ってくれて、いたく感動したものだ。


にしても、投げ飛ばすってすごい脅し文句……。


「投げ飛ばされるのはやだなー」


西原くんは唇を尖らせて肩をすくめる。
彼はひょろっとしているし喧嘩には無縁っぽい。


「ハハ、冗談だと思うよ」


西原くんにはそう言ったけど、多分兄なら周りをけん制するためにそんなことくらい本気で言いかねないだろうなって思った。


ただ実行には移していないと信じたいところだけど。


「でも瀬戸さんのことが心配なんだろうね」
< 78 / 443 >

この作品をシェア

pagetop