今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。


自分の部屋で着替えを済ませてからすぐにまた彼の部屋へ行こうと思った。


兄があんな顔するなんて珍しい。


ちょっと元気がないみたいだったから心配になる。


こうなった理由に思い当たったけど、急いで否定した。


もしかしたら、兄は西原くんにやきもちを妬いたのかなって。


ううん、違うよね。


ないない、そんなのあるわけないよ。


「翔くんどうしたのかな?もういつも通りに戻ってるかな」


大好きなレッサーパンダのぬいぐるみに話しかけた。


名前はポンちゃん、子どもの頃からの私の友達。


私を生んでくれたママとの思い出が詰まっている。


不安や心配なことがあると、ポンちゃんに聞いてもらう。


当然ポンちゃんは答えてはくれないけど。


「翔くんの部屋に一緒に行こうね」


ギュッとポンちゃんを胸に抱いて立ち上がった。
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