【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。
榎本さんと話し込んでいると後ろからトントンと肩を叩かれる。少し肩が跳ねたが、哉斗くんかなと思い振り向くとやっぱり哉斗くんだった。
『お待たせ、美央ちゃん。彼女と仲良くなったのか?』
哉斗くんの言葉に『うん』と頷く。
『良かったな、行くか』
哉斗くんはなんだかぶっきらぼうに手話で話す。すると、海斗くんが手招きをして私を見た。
『哉斗は、不貞腐れてるんだよ。榎本と仲良くなったから面白くないんだと思う』
『え、なんで?』
『美央ちゃんは哉斗の美央ちゃんだからね。独り占めしたいんだよ』
独り占め……。
でも、もう私は哉斗くんのなのに。
『美央ちゃん、海斗のことは聞かないでいい。迎えがきたらしいし俺たちは行こう』
私は頷くと彼らにお辞儀をしてから哉斗くんについて生徒会室を出た。