【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。



 私の座る前にあるテーブルの上には、パンが数個にパックのジュースが五個並べられている。

『美央ちゃん、好きなの食べていいよ。学校イチオシの購買のパンだから』

『ありがとう。でも、哉斗くんと海斗くんは?』

 海斗くんはパソコンのある席に座っていて、哉斗くんは私の隣に座っている。
 今はお昼休み真っただ中……そしてここは生徒会室。授業が終わった瞬間彼らと一緒に榎本さんと攫われてきた。

『大丈夫、食べながらやるから。美央ちゃんはゆっくり食べて』

 私が頷くと哉斗くんは『やってくるね』と手話で言い、デスクの椅子に座ると置いてある書類に手を伸ばした。
 以前、哉斗くんが買ってきてくれた見覚えのあるパンを一つ持ち袋を開ける。すると、甘い香りがふわっとしてきた。いい香り……美味しそう。

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