【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。


 ***


 午後の授業が終わり教科書とかを片付けていると哉斗くんに肩をトントンと触れられ、彼がいる方向を向く。

『食堂に行こう』

 私は哉斗くんの手話に頷くと、次の授業の教科書を取り出して机の上に置く。すると何かが落ちた。それは二つ折りにされているメモ用紙で【いがらし みおさま】と書かれている。

『どうしたの? 大丈夫?』

『大丈夫だよ。行こう』

 私は咄嗟に紙をポケットに入れると立ち上がり、哉斗くんにそう言うと遠慮なしに私の腰を引き寄せ手を握った。

『今日は、海斗と榎本は用事あるからいないからふたりだよ』

『沙知ちゃんに聞いたよ。二人でご飯は久しぶりだね』

 二人での昼休みは本当に久しぶりだ。編入して初めてじゃないかな、と思うくらい。
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