【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。


 それから授業が終わると私は、LINEで五十嵐の運転手の人に迎えをお願いした。

 いつも哉斗くんと帰るけどなんだか、余計なこと言ってしまいそうで怖かったから。


『美央、帰ろう』

『少し体調悪いみたい。だから家の迎えを頼んだ、から先に帰って』

『体調悪いのか!? 悪いなら俺が送るよ』

『大丈夫だよ』

 そう哉斗くんに言ったと同時にスマホが震えた。スマホの画面を見ると【校門前で待っています】とメッセージが来ていたのを確認する。

『迎え来たみたい。私帰るね、ありがと。じゃあまた明日』

『待って、美央。送るよ』

『大丈夫。……ごめんなさい』

 私は彼と離れ、教室を出た。帰りに一人で教室を出るのも、彼のことを断るのも初めてだった。

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