【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。
バスに乗り込むと前の方の右側の席に哉斗くんと一緒に座り、通路を挟んだ左側の席に海斗くんと沙知ちゃんが座る。
それから先生の点呼をし終わるとバスは出発すると、向かう先は東京駅だ。
今、時間は七時四十分……出発したばかりなのにワクワクしている。こういうのは初めてで心臓が飛び出しそうだ。
『美央、寒くない? 大丈夫?』
『大丈夫だよ。暖房も効いているし』
『良かった。そうだ、温かいお茶もあるから欲しかったら言って』
哉斗くんは、度々私を心配して世話を焼きたがる。大丈夫なのになぁ……
『美央! お菓子、食べない? これ、私が作ったんだけど』
『うれしい! 美味しそうだね』
沙知ちゃんは、可愛い箱に入っているクッキーを私に差し出した。それはほんのり甘くてサクサクしていてとても美味しい。
『美味しいよ、沙知ちゃん。お菓子作れるなんてすごい!』
私が興奮して手話で言うと、哉斗くんが肩を叩いた。