【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。


 哉斗くんは、いつものようにゆっくり言ってくれる。だけど、ふと不安になる。彼は、私の為に手話や指文字を覚えてくれた。とても優しい人。

 だけど私は家族以外に優しくされたことがないからよくわからない。本当は無理しているのではないのかとか思ってしまうから。
 哉斗くんは学校のお友達とは遊ばないのかな。学校の課題だってあるだろうし、やっぱり無理をしてここに来ているんじゃないかと心配になる。


「どうした……?」


 困ってる顔……。笑ってるけど、困ってる。私がボーっと考え事しているからだ。でも、そんな無理してませんか……なんて聞けない。





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