【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。
『嬉しいよ、すごく。私のために作ってくれてありがと』
本当に嬉しい。こんなに嬉しいことはない。昨日寂しく感じていたのが嘘みたいに曇っていた心が晴れていくのがわかった。
『だからさ、教えてほしい』
『……?』
私はなんのことか分からず首を少し傾げる。
『昨日、どうして怒ってたの? 俺に悪いとこあるなら言ってほしい。ちゃんと治すから』
……哉斗くんは何も悪くない。
ただ、彼らの世界が羨ましかった。それだけだ。これは私の問題。
『哉斗くんは悪くないの……私の問題で』
『……?』
今度は私の言葉に哉斗くんが傾げる。きっと今、彼の頭の中はハテナだらけだ。