【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。


『私ね、寂しかったんだ……今まで私の世界は家族と哉斗くんだけだった。世界が広がるたびに、私は、生きてる世界が違うんだなって思い知る。なんか、一人ぼっちになったみたいな感覚になって、あの日は哉斗くんに酷いこと言っちゃう気がして逃げた』


 ……言っちゃった。

 ぶちまけちゃった。

 嫌われないかな、そばにいてくれるのに寂しいなんて言って。


『良かった』

『何が……?』

『だって怒らせたわけじゃないんだなって思って……それに、寂しいなんて可愛いこと言われたら恋人としては嬉しいよ』

『でも、面倒くさくない……?』

『面倒くさいことなんてないよ。寂しくさせてごめんね、』


 そう手話で伝えてくれて私をぎゅっと抱きしめてくれた。すると、哉斗くんは背中に彼の指で何かを書いた。一字ずつ思い出すとそれは【だいじょうぶ、みおのことなにがあってもだいすきだから】と言っていた。

 哉斗くんは私を抱きしめる手を緩ませる。そして離れる時、頬に何かが触れた。


『顔、真っ赤だね』

『だって! 哉斗くんがき、キス……するから!』

「じゃあ、唇の方が良かった?」


 手話で話していたはずなのに哉斗くんはゆっくりと口を動かして言う。そんな彼がなんだか色っぽくて体が熱くなる……ううっ

 なんだか違う意味で熱がぶり返しそう……。




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