【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。


 お昼のご飯が食べ終わると、もう十四時だ。集合の時間まであと三十分しかない。


『美央、観覧車に乗らない?』


 レストランから出ると沙知ちゃんがそう指を差しながら言った。


『観覧車?』

『うん、あの観覧車に乗ってテッペンでキスをしたら永遠に結ばれるってジンクスがあるのよ。乗りたいと思わない?』


 沙知ちゃんは、頷いて手話でそう私に聞くと『ね?』と可愛らしく首を傾げた。確かにそのジンクスは素敵だ……小説で読んだラストシーンもそんな感じだった。

 それに高いとこまで行くし、景色も良さそうだもの。


『乗りたい、観覧車』

『よし、決まりだね。早速、海斗達に言いに行こー』


 彼女は、彼らのとこに行くとお願いするポーズをとっていて頼んでくれているのがわかる。すると、哉斗くんがこちらにやってきて『行こうか』と手話をすると私の手を握って観覧車まで行った。混んでるから待ち時間が十五分ほどまったけど無事乗ることができた。


『美央、ここのジンクス知ってる?』

『……うん、さっき沙知ちゃんに教えてもらって』


 頷きながらそう答えると哉斗くんはそっと立ち上がり私の隣に座った。


『テッペンに行ったらキス、してみる?』


 キスという言葉に恥ずかしくてあたふたしてしまう。今、絶対顔が真っ赤だ……沙知ちゃんと話をしている時は平気だったのに哉斗くんだと、意識してしまう。



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