【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。
*私たちの婚約発表
『これ、いつまでやるの?』
私がそう言ったのは、休日の十二時を過ぎだった。
修学旅行から帰宅して一ヶ月が経つ。私は、お母さんとお兄ちゃんと一緒にドレスの専門店にいた。
『ドレスが決まるまでだ。もうすぐ哉斗も来るからそれまでには決める』
『朝から来て今まで決まらないのに哉斗くんが来るまで決まるの?』
『きっと大丈夫よ、ひろくんもいるんだから』
お母さんの目線の先には、店員さんと話すお兄ちゃんの姿があった。真剣な顔をしているお兄ちゃんは私のとこに持ってくる前に見ているようだ。もう、お兄ちゃんが決めてくださいって思ってしまうくらいだ。
ため息を吐いて座って待っていると後ろから私の前に哉斗くんは現れた。
『お疲れだね。決まったの?』
私は哉斗くんの言葉に首を横に振ると『まだ決まってないの。お母さんとお兄ちゃんに着せ替え人形にされて』と手話で話す。
『そうなんだ、俺が選んでもいい? 大丈夫かな?』
『もちろんいいけど、お母さん達が』
『大丈夫、俺らが主役でやるんだから俺が美央のドレス決めてもいいでしょ』
哉斗くんはそう言うと、お母さん達のいる場所に行くと話に入っていった。