【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。
*守りたい 哉斗side
「……では今後ともよろしくお願いいたします」
「いえ、どうも」
俺は話しかけてきた男性と別れると、美央がいる場所へ戻ろうと歩き出した。だけど、さっきまでいた場所には美央はいなかった。
「哉斗っ……美央ちゃん、が、いなくなった」
「え?」
「俺が飲み物取りに行ってそれから戻ったらもういなかったんだ。今、央翔さんには伝えた」
俺が、離れたから……美央が。
初めてのパーティーだから、ちゃんとそばにいて守らないとって思っていたのに。
「哉斗、お前のせいじゃないから。大丈夫だ。美央ちゃんは無事だよ」
「そんな、美央は……美央は耳が聞こえない。助けてほしくても、声に出して助けを呼べない。それに五十嵐グループのお嬢様だ、何かひどいことされたら――」
美央に何かあったらと思ったら頭が働かなくて、どうすればいいのかわからなくなった。
こんなんじゃ、いけない。探しに行かなきゃ、と思うのに……っ!
「お前はバカか!」
突然、海斗は俺の肩を掴み大きな声でそう叫んだ。