【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。
story2. 外の世界
*写真の中の世界
哉斗くんと出会って3ヶ月経った。
『こんにちは』
あの日から哉斗くんはほとんど欠かさず来てくれる。ずっと、他人と話すことがなかった私が普通に話すことが出来るのは彼が手話で話してくれるから。
それに今では、日常会話なら違和感なく話せるようになって私が手話を教えることは殆どない。
『今日は写真たくさん撮ってきた』
『!? 見たい!』
嬉しくて姿勢を正すと思わずニヤけちゃいそうになって両手で口元を押さえた。
哉斗くんは、よく学校から見える景色やお昼食べたものを写真を撮ってきて見せてくれるようになった。
『これ、美味しそう』
『これは売店のパンだよ。売店の厨房で焼いてるらしい』
『手作り? すごい!』
食べてみたいなぁ……でも、外に行く勇気はないし。
『また買ってくるよ。そうだ、美央ちゃんLINEやってる?』
『LINE? あっ、これ?』
私は、最近買ってもらったスマホを取り出してそれらしきアプリを探した。友だちがいないからお母さんとお父様の連絡先だけ登録されていない。
『LINE、交換しよう。貸して』