【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。
story3. 友だち以上?

*ブルーのドレス



 よく晴れた日曜日。

 家の別館にはたくさんの人が出入りしていていつもはいるはずのメイドさんもそのお手伝いに行っていて側にいてくれる人も今はいない。
 なぜかというと、夜に開かれるパーティーがあるから準備で大変だからだ。部屋の窓から別館の様子が見えるけど忙しそうに出たり入ったりして他人事のように大変そうだなぁと見ていると後ろから肩をトントンと軽く叩かれ後ろを振り向く。するとそこには私服姿の哉斗くんがいた。

『おはよう、美央ちゃん』

『あっ! 哉斗くんおはよう』

 白のパーカーにジーパン姿の彼は、制服とは違ってかっこいい。かっこいいのはいつもだけど……
 哉斗くんとは、あれ以来屋敷の敷地内なら外で過ごせるようになって彼といれば目線とかも気にならなくもなった。一歩前進だ。
 これも哉斗くんのおかげだ。

『美央ちゃん、お誕生日おめでとう』

 哉斗くんはそう言って、持っていた透明な袋を差し出しそれを受け取った。袋の中に入っていたのは可愛らしい花束だった。嬉しくて『ありがとう』と勢いよく手話でそう言った。

『これは、ソープフラワーって言うんだって。石鹸で出来てるから枯れなくてずっと楽しめるらしいよ』

『石鹸? いい匂いだね』

『でしょ? 美央ちゃんをイメージして作ってもらったんだよ。だから美央ちゃんのイメージだよ』

 本物のお花みたい。なんかふんわりいい香りがするし、わたしのイメージで作ってくれたなんて嬉しい。

『本当にありがとう、可愛い。こんな素敵な贈り物はじめてだよ』

『良かった。あのね、美央ちゃんに紹介したい人がいるんだけどいい?』

 嬉しくて気持ちがポカポカしていると哉斗くんにそう言われて頷く。すると、哉斗くんは一旦外に出て呼びに行った。
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