【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。
あー……本当に。めんどくさい。早くここから出たいんだけど。
「えぇ!? そうなの?」
「……もういいか?」
早く美央ちゃんに会いたい。
こんなとこでこんな奴らと話す時間が勿体ないんだけど。
「哉斗、もう愛しの婚約者ちゃんに会いに行けば?」
俺がイライラしていたのが分かったのか海斗はそう言って逃がしてくれた。海斗にこの2人の相手を任せて俺は別館を出た。
別館を出て屋敷の本館に入ると玄関に美央ちゃんが座っている。顔を伏せているけど、ドレスで彼女だと分かった。
美央ちゃんに近づいて座ると両肩を優しくふれた。
『どうして、こんなとこにいたの?』
『……早く、哉斗くんに会いたくて。でも会場に行く勇気はなくてここで待ってたの』
何この子。可愛すぎか。
上目遣いに俺が選んだドレスが可愛くて、天使かと思う。さっきまでの出来事すら、どうでも良くなるくらいだ。
もう、天使。前世は天使か女神だったんじゃないのか……?
『そっか。でも、ひとりは危ない。部屋に行こう』
俺は彼女と部屋に向かおうとしたが、ジャケットを掴まれて引き止められた。
『どうしたの?』
『せっかくだし、ここで話をしたい。だめ?』