【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。


『美央ちゃん、そろそろ休憩は終わりにしよう』

 私は頷き『部屋に戻ります』と言って立ち上がり、リビングを出た。自室に入ると、机には一つ手紙が乗っていた。

【五十嵐 みお様】

 名前はひらがなで書かれている。裏には【里村もも】と書いてある。この人、誰だろう……?
 私は取り敢えず手紙の封を開けると中には二つ折りされている便箋を取り出して広げた。中には2行の文字。

 ――え?

【哉斗を返して】

【私たちは愛し合っていたのに】

 里村ももさん、は……哉斗くんの恋人。私と政略結婚が決まって別れさせられたの?
 私のせい、で? 

 ――ドクンッ

 心臓が嫌な音を立てる。どうしよう、私……哉斗くんの幸せ奪ったんだ……っ
 哉斗くんは無理に、私といたのかな。

 負の感情ばかりがぐるぐると回っていく。私にも優しいんだから、きっとこの人にも優しかったんだろうなぁ……
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