【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。


 私はすぐに誰も見ない本棚に手紙を隠す。そして私は部屋の鍵を閉めた。今は13時だ、夕方までに心の整理をつけよう。
 優しくしてくれた哉斗くんへの、少しでも恩返ししたいから……。



***

 私は16時に部屋の鍵を解除し、机に頭を伏せた。メモ帳に書いた文字を何度も見つめる。

【この婚約を破棄しましょう】

 自分で決めて自分で書いたのに胸が痛む。
 彼といるとドキドキはしたけど、とても楽しくて毎日来てくれて嬉しかったなぁ……これで、楽しい時間は終わりなんだなと思うと寂しい。

『こんにちわ、美央ちゃん』

 私はいつも通り笑顔で現れた哉斗くんを見てさっき書いた紙を見せる。

『!? どうして……?』

『もう大丈夫だから、無理しないでください』

 哉斗くんから事実を聞くのが怖くて私は顔を伏せる。私は、相手を見なきゃ言いたいことも相手の気持ちもわからないから。
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