【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。
*好き 哉斗side
「もう、生きていけない」
美央ちゃんに『婚約を破棄しましょう』と言われた翌日――俺は、もう死にそうだった。
「もう、哉斗死んでるだろ」
「……っ……」
「で、婚約破棄された?」
そんなの分かってれば、今頃死んでない。
「分からないのか。彼女に聞いたのか?」
「聞いてない……聞けなかった」
あの時、彼女は俯いていてこちらの顔さえも見てくれなかった。こっちを向いてくれなきゃ、何も言えない。
一瞬、好きだと言いそうになった。
だけどあの時言ったら後戻り出来なくなる気がした。
「一か八か言っちゃえば良かったんじゃない? 何か変わったかもしれねーじゃん」
「変わらない」
「はぁーこれからどうするわけ?」
「毎日通う。会えなくても毎日」
この気持ちを諦めることできない。