【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。

*好き 哉斗side



「もう、生きていけない」

 美央ちゃんに『婚約を破棄しましょう』と言われた翌日――俺は、もう死にそうだった。

「もう、哉斗死んでるだろ」

「……っ……」

「で、婚約破棄された?」

 そんなの分かってれば、今頃死んでない。

「分からないのか。彼女に聞いたのか?」

「聞いてない……聞けなかった」

 あの時、彼女は俯いていてこちらの顔さえも見てくれなかった。こっちを向いてくれなきゃ、何も言えない。
 一瞬、好きだと言いそうになった。
 だけどあの時言ったら後戻り出来なくなる気がした。

「一か八か言っちゃえば良かったんじゃない? 何か変わったかもしれねーじゃん」

「変わらない」

「はぁーこれからどうするわけ?」

「毎日通う。会えなくても毎日」

 この気持ちを諦めることできない。
 
< 75 / 181 >

この作品をシェア

pagetop