【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。
そして2日後、俺は作戦を実行すべく里村ももに声をかけた。
「なぁに? 哉斗くんっ」
里村ももは、気持ち悪いくらいの甘ったるい声を出した。
「里村もも、お前は俺の婚約者を傷つけたよな?」
「え? そんなこと……それに、私桜園くんと婚約してるのよ」
「婚約者候補、だろ?」
俺がそう言うと周りはざわつきだす。
「候補? なにそれ」
「というか、倉橋と五十嵐に喧嘩吹っ掛けたってことだよね?」
「度胸あんな〜」
そんな声が沢山聞こえる中、里村ももは甘ったるい声を崩さない。
「えー哉斗くんそんなわけないでしょ? 桜園くん、絶対に結婚しようって言ってくれたもん!」
「俺は桜園の兄に聞いたんだよ。それに桜園の許婚である藍本家がその事実に激怒している」
「……え」
彼女の声が変わり、素の声が聞こえる。