【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。
「藍本家と桜園家の祖父同士が親友。藍本家先先代当主は、孫娘を溺愛してるからカンカンだということも」
「で、でもそんなの関係ないって……絶対社長になって私を奥さんにしてくれるって」
「話聞いていた? 桜園家は君を受け入れない。それに、五十嵐社長の溺愛している令嬢にこんな手紙。許されると思ってんの?」
俺が言ってもよく分かってないのか動揺の色をみせない。というか、特待生組であるCグループは俺の言葉に理解できていない。
その一方でA、Bグループに属する奴らは動揺や不安の色を見せ里村に軽蔑の目を向けていた。
「……五十嵐と倉橋を敵に回すなんて、やばくない?」
そうだ、社長に連絡を――と思ったその時、校長室の放送マイクから五十嵐社長の声が聞こえた。
《みなさんこんにちわ。私、五十嵐医薬品会社の社長をしております五十嵐悟です》
タイミングぴったりすぎだよ社長……。
《本日付で、里村ももさん。あなたはこの学校を退学にさせていただきます。これは校長と相談し、決定したことです》
退学の言葉に、「えっ? なんで?」と力ない声が聞こえた