【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。
哉斗くんは隣に立っていたけど今は斜め隣に立ってくれていて私が孤立しないように口の動きが分かるようにゆっくりと話している。
だけど、哉斗くんってこんなことを言うキャラだったっけ……?
「……っ」
「俺と美央が親父にいえばなんとでもなるんですよ。寄付金を止めることも出来ますし。もしそうなれば、どうなるかお分かりですよね?」
「婚約者だかなんだか知らんが、どうせ愛のない結婚なんだろ!?」
早すぎて読み取れない……けど怒ってる?
大人相手にキツく言い過ぎなんじゃないかな。
「……先生とんでもないことを……」
海斗くんがそう言うと、哉斗くんはため息をつく。私が哉斗くんの顔を覗き込む。
「『俺は美央ちゃんを愛してますよ。大好きです』」
え?今、なんでそんなことを言っているのかわからないけど身体の中が沸騰していくように熱い。
すると、哉斗くんの顔が目の前に来て彼の唇が私の唇に触れる。
「愛のない結婚なんてとんでもないですよ、先生」
先生が悔しそうななんとも言えない顔をする中、私はさっきの出来事に放心状態だ。初めてキス、しちゃった……