私が素直になったとき……君の甘過ぎる溺愛が止まらない



 * * *


 夕飯を食べ終え。
 亜南くんが食後の運動も兼ねて夜の散歩がしたいということで。
 公園の中を歩いている。



「遥稀さん、
 今日は楽しかったです。
 ありがとうございました」


「こちらこそ、ありがとう。
 偵察という目的を忘れるくらい、すごく楽しくて。
 私としては普通にカフェでお茶してた感じ。
 映画も楽しかった」


 こんなにも楽しめた。

 それは本当に久しぶりで。


「でも、店長としては失格だよね。
 本来の目的を忘れてしまうなんて」


 どこのカフェも美味しくて。
 感動しちゃったし。


「……ありませんよ、初めから。
 目的なんて」


「亜南くん?」


「あるにはありますけど……
 それは偵察ではありません」


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