私が素直になったとき……君の甘過ぎる溺愛が止まらない
* * *
夕飯を食べ終え。
私と亜南くんは、あの日のように公園を歩いている。
六月の上旬。
夏の入り口に入り、やさしく吹く風も夏らしい匂いになっている。
季節の匂い、好きだな。
春夏秋冬、それぞれの季節を感じることができるから。
って。
「あっ」
と、思ったときには。
身体が傾いていた。
気付かなかった。
段差があったことに。
転んでしまう、このままでは。
そう思ったとき。
倒れていくはずの身体が動きを止めた。
私の身体は。
亜南くんの両腕で支えられていた。
「大丈夫ですか」
耳元で亜南くんの声が広がった。
「ありがとう、亜南くん」
亜南くん。
スラっとしているように見えても。
やっぱり男の人だな。
腕もがっちりとしてたくましい。
そう思いながら亜南くんから離れようと……。