お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


「でも碧くんがいなくなるのもやだ……。1人でここにいるの怖い……」
「すぐ帰ってくるって!」


「碧くん……」
「……じゃあ飛べよ!ぜったい受け止めてやるから!」


彼は下で手を広げてくれる。


「む、むりだよ、碧くんがつぶれちゃう」
「おまえそんなにデブなのかよ」


「……碧くん?」
「なんだよ」


「……でぶってなぁに?」
「今はそんなこといいから飛べ!」


「ほ、ほんとのほんとにだいじょうぶ?」
「大丈夫だって!」


碧くんは何度も「飛べ!」と言って。
わたしは、悩んだ末に彼の言うとおりに飛びおりることを決めた。


その時に──。






「碧、どうしたんだい?そんなところで──って、茉白!?」


たまたま庭に出た、お父さんに見つかった。


わたしは飛びおりる前に、組の人たちに救助され……。
そのあと、わたしと碧くんはそれはもうすごく怒られた。


でも、この日のことがあったから、碧くんとの距離が縮まった。


毎日一緒に遊んでくれるようになったし、お話してくれて、少しずつ心を開いてくれるようにもなって。
やがて、友だちになった。

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