お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
気づいてしまったこと
「ね、ねぇ、碧」
「なんですか?」
「テストの成績表……もらった?」
「はい。それはもう素晴らしい結果でしたよ」
「ちょっと見せて?」
「いいですよ」
先週終わった中間テスト。
わたしのクラスは、朝のホームルームで中間テストの成績表を渡されて。
お昼休み屋上でお弁当を食べている最中、碧のテストの成績表が気になって、聞いてみた。
碧は鞄の中から1枚の紙を取り出すと、それをわたしに手渡してくれる。
嫌な予感しかしなかった。
だって、わたしは彼が勉強している姿を一度も見ていないんだから。
テスト前に『ちゃんと勉強してる?』なんて聞いたら、『あとでやります』と必ず返ってきて……。
絶対あとでやらないだろうと思い一緒に勉強をしようとすれば、碧は急用ができて出かけていく。
その急用というのは、組の用事で。
若頭の碧は最近多忙だった。
真夜中や空が明るくなった頃に帰ってきて、平日はあまり眠ることなく彼はわたしと一緒に学校へ登校。
睡眠時間もろくにないのに『勉強しよう!』とは強く言えず、テストを迎えてしまったのだった。