お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


目の前にいたのは、茶髪の髪を巻いた女の子。
サンダルの色が違かったから、先輩だ。
にこりと笑う先輩だけど、どこか感じる恐怖。


なんて返せば……。
先輩と接点なんてないのに、わたしになんの用があるんだろう……。


「あ、えと……」


なんて返そうか迷っていた時。


「俺の鷹樹さんになにか用ですか?」


碧がわたしの隣まで来て、わたしの肩を抱いて自分のほうへと引き寄せる。


「ちょっと、その子に聞きたいことがあってね。借りてもいいかな?」


目の前の先輩が笑いながら答えると、碧もにこりと笑って。


「すみません。鷹樹さんはこれから俺と用事がありまして」


そんな嘘をさらっとついた。
用事は特にないし、嘘だけど……そう言ってくれるのは正直助かる。


「そうなんだ?じゃあ、またあとで──」
「ちなみに、あのクソ猿……猿渡くんと鷹樹さんはあなたの考えているような関係ではないですよ。
鷹樹さんは、俺のですから」


先輩の言葉を遮った碧。

< 137 / 431 >

この作品をシェア

pagetop